FLOW

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2014.6.7の 西丹沢アドベンチャーランに出場してわかったこと

雨の朝。7時に家を出発、途中通行止めの246を迂回、8時過ぎに中川温泉に設定された駐車場に到着した。となりの車から若いおにいさんが「今日やるんですよね。憂鬱だなぁ。。。よろしくっす!!」とさわやかにあいさつしてきた。荷物をまとめながらこちらも同様にさわやかに返す。駐車場からはシャトルバスで10分ほどで会場の玄倉へ。雨の中のテント設営やら運営やらに、関係者の方々には頭が下がる。受付をすませ待機施設でブリューフィング&スタートまで待った。

そこで参加者たちを物色した。雨なのに綿Tシャツとただのランシューズの若い男性、荷物を持たないで勝ちにいく中年男、雨具から地図までしっかり背負うおじさん、オレの知り合いのなんとかさんが今度日本代表になったんすよ〜と知り合い自慢する若い男、キロ3分でいきゃあいいんだろと息巻く若い男、ランスタイルの若い女性、準備万端な山ガール集団、バスケの格好の若いあんちゃん、真っ白のすけすけスタイルの女性。。。とにかく、いろんなスタイルがあるものだと感心した。

30分繰り下げの10時にブリューフィング。全員参加が原則だが参加率は80%程度か。10時30に短縮42kの部がスタート、11時00にエントリーした21kの部がスタートした。僕は最後尾からスタートしのんびり走った。いつの間にか人を抜き先頭近くまで行ってしまった。レースをするつもりは無いのでジョグに落とし、景色を楽しみながら悠々走った。雨に濡れた緑はとても美しい。俗っぽくいえばマイナスイオンに満ちている。しかし、まわりの選手を見ればみんな息が苦しそうだった。

ユーシンまで景色と雨の雰囲気を楽しみ、折り返しの下りでスピードを上げ駆け抜けた。トレーニングの一貫として参加しているので遠慮無くとばした。玄倉まで降りてきたところにエイドステーション。ボランティアのおばちゃんたちの手作り料理をおしゃべりしながらいただく。とてもおいしい。後からゆっくり走ってきた選手たちが食事を受け取っている。先頭の人たちはほとんど補給しなかったそうだ。まぁ20数キロ程度ではいらないのだろうな。後から走ってきたマイペース組もあまりゆっくりせず、再び走り去っていった。ぼくは、なんとなくその背中を見ていた。

僕はここでレースをやめた。もう走る気が失せていた。ゼッケンを返し、荷物をまとめて、タクシーを呼んだ。完走していなかったが、なんだかさわやかな気持ちだった。僕の初トレイルランニングイベントはこうして終わった。

トレイルランというレースはいろいろあると思うけど、勝ちに行く人たちにはただのレースなんだと思った。勝負とは関係ない人たちには、仲間とともに楽しく走ったり、ゴールの達成感を共有したり、自分に挑戦したりと、いろいろな楽しみ方が存在するだろう。したがってレースの意義は十分にあるのだろう。

しかし、僕はトレイルを楽しむのならレースは必要ないと感じた。正確に言えば、自分のスタイルではないということだ。他のトレイルレースはもっとトレイルという感じだとは聞いたが、所詮レースという形態をとっている限り、出場選手は制限時間内のゴールを目指して走ることを目標とするだろう。会場、コース、距離などどれひとつ同じ条件が無い分、記録という束縛が無いだけロードよりましなのかもしれないが、それなら余計速く走ることは必要ないと感じた。

自分が好きなトレイルスタイルは、自分で地図を見ながら想像力をかきたてながら行動計画をたて、それに伴う準備をし、当日はのんびり好きな所で立ち止まり、好きなところで駆け抜け、地図を眺め少しコース変更してみたり、景色が素晴らしいところで写真をとり、お腹が空いたらお弁当を食べ、他の登山者と会話を楽しむというものだ。それが分かっていたのだけど、色気が出てレースにエントリーしたのが間違いだった。「足が早い自分のチカラ」を少し試してみたくなったなんて、なんだかカッコ悪い。自己ベストの5000m15分台、マラソン2時間40分台は、日本選手権には到底及ばないレベルだ。そもそも短距離・跳躍選手なのだから体質的・遺伝的にロングが遅いのはしょうがない。ただ、一般的には速いのかもしれない。市民ランナーの方々に「一度、出てみたらいいじゃないですか」と薦められ、それで色気が出たのだ。まったく情けないことである。

トレイルのスタイルは様々で他人をあれこれ言うつもりは毛頭ない。それぞれの楽しみ方で、安全に楽しんでもらえばいい。ただ、山は機嫌が少しでも悪くなったら人間のチカラなんて無力に等しい。一定の登山スキルが無いのなら、無理をせずチカラを見誤らないことが最も重要だと思う。そういう意味ではレースは安全なのかもしれない。

また、自分のスタイルを見つける方法としてレースは一つの手段だと思う。自分も一度出てそれが分かった。自分は、マイペースに山を楽しむ方が性に合っている。これだけ分かっただけでもこのレースは有意義だった。

これからは、自分だけのトレイルコースを開拓していこうと思う。それらを少しずつこの場を借りて紹介していこうと思う。

山は逃げない。ゆっくりやっていこうと思う。