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動物と人間の輸送コストの決定的な差

輸送コストとは移動の効率を表すシンプルな概念です。横軸が移動速度、縦軸が移動にかかる単位時間あたりのエネルギー消費量示すグラフのことです。ほとんどの生物はこのグラフはU字型を描きます。U字の底がいわゆるスイート・スポットと言い、最も効率の良いことを表しています。つまり、その速度であれば移動距離に対して最小エネルギーで移動できるということです。簡単に言えば、車の場合60〜80km/hくらいが最も燃費が良いということになります。このU字型グラフを見れば、ほとんどの動物の各種移動速度は、最も効率の良いエネルギー消費で済むようになっています。それぞれの動物の移動速度が異なるのは、その速度がその動物にとっては最良の燃費で移動できる速度ということです。つまりそうやって進化してきたとが伺えます。

しかし、人間はこの法則が歩くときにしか適用されません。人間は歩く速度(ほぼ5〜7km/h程度)が最もエネルギー効率が良い移動ができますが、走ることになるとグラフはU字型からフラット型になります。つまり、エネルギー消費に関して最適の速度が無いということです。人間にはなぜスイートスポットが無いのでしょうか?走ることに関して、どのスピードで走ろうが燃費は本当に変わらないのでしょうか?それは進化にとって適切だったのでしょうか?

この問題は種による違いではなく、個体差で説明ができます。人間の場合、非常に個体差が大きいためサンプル数を平均した結果フラットな直線になってしまったというわけです。人間は個体差が大きく、エネルギー効率はトレーニングや身体の状態、運動経験によって大きく左右されます。

もっと興味深いことは、からだにある個々の筋肉にいつも言えることです。使う筋肉とエネルギー効率は活動によって異なります。同じ走ることでも、階段を走ったり、丘を駆け上ったり、砂浜を走る場合では、使う筋肉も異なればエネルギー効率も異なります。また、投げる、打つ、泳ぐ、登る、こぐ、回るなどあらゆる活動においても、使われる筋肉とエネルギー効率は異なります。つまり、人間はあらゆる動きをあらゆる速度域で行うことができるということです。

人間は、ある一つの動きに特化しない代わりに、あらゆる動きを行うことが可能なように進化してきたと考えられます。決して走るためだけに生まれてきたわけではないわけです。人間は元来万能に設計され、学習し経験することでさらにエネルギー効率を高め熟練の域に達することが可能な種であると言えるでしょう。

人間は万能であることを基本として設計されています。つまり、なんにでもなれるということでもあります。ある特定の能力を磨き続けることで特化し、突き抜けることができます。突き抜けた能力は他との差を生みバリューを創出します。そのバリューを一般の人に向け巧みに認知されるようしかけをつくれば、それがお金を生むことになります。

なんでもそこそこできる、またはなんでもだいたいのことは自分でできるというタイプの人間はバリューを創出することは難しいのかもしれません。ぼくのようななんでもそこそこ型の人間は20代まではなんでもできてスゴイということになりますが、それ以降は何かに特化した人たちに次々抜かれてゆきます。そして最後には全て中途半端な人間が残るだけです。僕もその一人です。。。

そこで僕は考えました。スペシャリストにはなれない。ならばジェネラリストになれば良いのじゃないか。自分でなんでもやらないで、自分より得意な人を探して集めて彼らに適切に託せばいいのだ。自分は、そこそこの広い知識と経験を使って、スペシャリストたちに適切にタスクを頼めばいいのだ。

ジェネラリストとして胸を張れるように生きてゆくには、どうしてゆけばいいのだろう。次はそれを考えてみよう。