セラピストのもつ経験値、言語化とその限界、そしてAIへ
患者さんやお客さんの不良動作を分析する手段として、筋電位系やモーションキャプチャーがあるが、毎度それらを使うのはいささか大変なので、何か良い手はないものか、という話。
普段は「S&Cとしての目、トレーナーとしての目、セラピストとしての目、アスリートとしての目」など経験による分析をせざるおえないのが実情。
したがって定量的な分析とは言えないのが現状である。
そのため、目利きが重要になり経験値を正しい知識へフィードバックさせることが重要となってくる。
患者さんにとっては痛みが消え、正しい動作を習得でき、今後の予防につながるのであれば、こちらの事情は関係ない。とにかく、いいPTさんやセラピストにあたればいいのだ。いいという意味は、もちろん相性もあるので、腕だけでなくトータルとして判断されるものだ。
そうしてゆくと、これらの各個人の知見に差異が生じてくる。
これは大きな問題だ。定性的な情報は、感性がするどく言語化されていない領域を感じ取れる優秀なセラピスト同士であれば、伝わりやすく差異は生じにくい。
しかし、経験が浅い者や感性がいまひとつの人には、抽象的で定性的な説明は伝わらない。正確な言語化が必要になってくるし、正しいデータも必要となる。
正直にいえば、感性のとぼしいセラピストはどんなに知識があっても自分の感覚に落とし込めないので、テクニックにはしりやすく、患者をみることが下手だ。本来患者にとって、どのテクニック・方法・スキルを選択すれば良いかが大切なはずなのに。
話を戻す。
正確な言語化と正しいデータが必要な理由は、定量的データの積み重ねによりエビデンスの担保が可能だからだ。これらデータを統計処理することで、治療効果を一般化することができる。これらの情報をまとめ、論文として発表することが、治療水準を高めることにつながる。
有名な治療家がセミナーと称して高いお金を徴収してスキルを学ばせる仕組みはビジネスとしては正しいが、公平な医療と高い医療水準をたもつには、ちょっと考えてしまうものがある。
そんなに素晴らしいテクニックなら、しっかり論文にして発表して、さらに他のセラピストが試しフィードバックしてゆくことで、さらに精度が高くエビデンスに富んだよいテクニックへと昇華してゆくハズだと、サイエンティストの目線では思ってまう。
そんなことを考えているのだけど、動作分析にAI使えばいいじゃん、というのが自分の考え。
動作の見える化して、正常な動作との差異をデータ化する。ためた解析データは既往歴や患者のさまざまなObjectとともにAIで解析する。思いも寄らないような、お何かしらの相関関係を見つけられるかもしれない。
モーションキャプチャや筋電位計を付けながら解析したいところだけど、それはなかなか難しい。なので、モーションキャプチャを使わずに動作解析をできるシステムを探してみた。
NTTがAnyMotionというモーションキャプチャのAIサービスを始めていた。これはちょっとおもしろそう。
スマホで撮った「正しい動き」と「患者さんの動き」、それぞれの動画をサービスに頼めば、その差異を解析してくれるというものだ。
身体の複雑な動きや、被写体の角度などはAIが解析して、身体の中心をステティックピクチャー化する。なので、専用のスーツを着る必要もないし、関節にポイントシールを貼る必要がないため、お手軽に解析が可能だ。
ただ、大きな問題として、そのスティックピクチャー化があまりにも、それはないだろうというレベル。
おどろくべきことに骨盤が無い、仙骨あたりをポイントにしているわけでもない。肩甲骨の位置は分からないし。これだと身体の傾きが何によるものかまったく分からないし、平面化してねじれ成分がまったく見えない。いや平面というか線だから、1次元にまで情報が劣化している。開発に身体の専門家を入れていないんじゃないか?と疑うレベル。
でも、こういうサービスを最初に始めるってが大切なんだと思う。多少変でも、誰よりも先にはじめて、どんどん改良してゆけば良い。GoProとかもそうだった。アメリカのベンチャーがやる手法だけど、今の時代だと正解なんだと思う。
なので、改善されるのを期待して待っていよう。いや、改善して欲しいところを直接お願いしよう。最低でも、プロが参考レベルに使えるところまでアップグレードしてもらえたら、最高なんだけど。。。
あとは、自分で開発するという手もある。
ただしお金も人もいない。
クラウドファンディングとか調べてみようかねぇ。。。